サンケン技報


サンケン技報は、省エネルギー社会を支えるサンケングループの最新技術や製品を紹介する技術論文です。
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2017年11月号(vol.49)

No. 論文 著者
1 デジタル制御デュアルフィードバックLLCコンバータの開発 小池 憲吾
大竹 修
鈴木 貴之
古賀 竜彦
ミックスドシグナルMCUと高圧ゲートドライバを1パッケージに収めたMD6701の開発を行った。 本ICはADコンバータとMCUを用いた数値演算によるフルデジタル制御を行うことができる。 ここで、応用回路としてデュアルフィードバックLLCコンバータの開発をし、LEDバックライト液晶テレビ用電源の試作を行った。 一般的に液晶テレビは、PFC回路、メイン電源、スタンバイ電源が必要となり3つの電源回路で構成される。 従って、使用部品や基板面積の増加によるコスト増につながっている。 MD6701は、PFC制御回路に加え、LLC回路において2 つの電源出力を個別に制御できるデュアルフィードバック制御技術を用いることで、 LEDバックライト用定電流出力と音声およびシステム系制御回路出力の2 つの電源出力を各々制御することが可能となった。 さらに、LEDドライバBL0122と組み合わせることで、スタンバイ電力に対応したフルデジタル制御電源を構成することができる。
2 制御機能内蔵小型モータドライバIC の開発 山中 進
鈴木 未生
エアコンファンモータを代表とする小型モータを駆動するモータドライバICに対して、小型化・高効率化のニーズが一層高まってきている。 これを実現するために、異なる制御方式を持つ2つのシリーズを開発した。 先行開発はホールセンサを使用するSX68100Mシリーズ、次期開発はセンサレスで上位のベクトル制御を内蔵したSX68200Mシリーズである。 どちらも制御から出力MOSFETまでを1パッケージに収めて、従来構成と比べて大幅な小型化を可能とした。 異なる特徴を持つ2つの制御にて市場のニーズに対応し、幅広い用途に高効率なモータドライバICを提供する。各製品について報告する。
3 OBC向けPFCモジュールSDE6530 シリーズの開発 一瀬 聡
近年、自動車市場においてプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)の需要が高まっている。 PHV、EVが搭載する高圧バッテリーへのエネルギー供給はOBC(On Board Charger)を通して行われており、 OBCでは高調波抑制を行うためのPFC(PowerFactor Correction)回路が必要となる。 今回、PFC回路部分に使用される制御IC、スイッチング素子を一つのパッケージに搭載した製品SDE6530シリーズを開発した。
4 SiC-SBD素子 FMPA-10565の開発 鶴岡 政行
熊倉 弘道
SiC-SBDは、優れた材料物性のため、次世代パワー半導体の一翼を担う製品として期待されている。 従来は、Siデバイスとの価格差から、超効率が求められる限られた用途や、電力損失の大きな大型電子機器に採用されるにとどまっていたが、 近年の素材品質の向上、製造技術の向上などにより、汎用用途でも手の届く価格帯になってきた。 今回、普及機の汎用用途展開をターゲットとした、650V/5A定格の製品を製品化したので紹介を行う。 理想的なスイッチング特性が得られており、電流モードのPFC整流/高速チョッパー回路整流に最適な製品となっている。
5 GaN基板上縦型パワーデバイスの開発 佐藤 憲
鹿内 洋志
GaN on Si を用いた横型 パワーデバイスの市場への投入が始まりつつある。 これは高速スイッチングによる電源の小型化などのメリットがあるものの、より高耐圧、かつ大電流を求められる用途においては縦型デバイスが適しており、 GaN基板を用いた縦型デバイスの開発が国家プロジェクトを中心に進められている。 本稿では、現在参画しているJST主幹のスーパークラスタープログラムの概要と縦型GaNデバイスへの取り組みの一部を紹介する。
6 高信頼性太陽光発電用マイクロインバータの開発 吉江 徹
高信頼性太陽光発電用マイクロインバータを開発中である。複数枚パネルを束ねて1つのインバータで変換する従来型に比べ、 各太陽光パネルに個別に付属するマイクロインバータは変換効率に優れる。さらにマイクロインバータの信頼性を高めることで交換周期を減らし、 経済的にも優れたものを目指して開発している。搭載回路に新規開発のアクティブバッファ方式を用い、 SiC素子による高電圧化とセラミックコンデンサの採用で高効率・長寿命を実現する。 さらにマイクロインバータの筺体は内部回路を保護するため密閉タイプを用いることで長寿命化を図っている。
7 Split Gate MOS FETの開発状況 近藤 太郎
電子機器の主要パワー半導体への小型化、大電流化、高速化の要求を受け、さらなる小型化を目的として低電圧第11 世代MOSFETのプロセス・デバイス技術を用いた Split gate MOS FET の開発を進めている。Split Gate構造は耐圧とオン抵抗のトレードオフを改善し、従来のトレンチ構造よりもオン抵抗を低減できる。 さらに、チップサイズを小さくできるため、スイッチングスピードの高速化にも効果がある。 またサブストレート抵抗の低減を目的とした、ウェーハの薄厚化技術開発により8 インチウェーハのさらなる薄厚化を実現した。 本稿ではこれらの技術を組み合わせて低オン抵抗と高速スイッチングを両立するSplit Gate MOS FETの開発状況について述べる。
8 間欠負荷平準化対応フライホイールUPSの開発 加藤 康司
瀬谷 鮎太
石隈 悟
麻生 真司
工場の生産設備などにおいて、工作機械や垂直搬送機のような動作する瞬間に大きなピーク電力を必要とし、それ以外の期間はほぼ電力を必要としないような負荷が存在する。 これらの負荷は受電設備が大型化し初期コストが過大になる。また契約電力も高額になるため、ランニングコストが上昇する。 本開発ではこのような過大なピーク電力がある間欠負荷の平準化に対応したUPSを開発した。 開発したUPSは当社の常時インバータ方式「FBK-SBUシリーズ」と蓄電デバイスとして充放電による劣化のないフライホイールを用いている。 大きなピーク電力が必要な場合、フライホイールから負荷に電力を供給することでピークカットを行い、それ以外の期間でフライホイールを充電する。 よって、受電設備容量を小さくすることができるため設備の初期コストの低減に寄与できる。
9 大電流DC/DCコンバータモジュールBR220 の開発 力石 康裕
情報通信技術(ICT)はさまざまな分野のビジネスやサービスに活用され、ますます広がっていくことが予想される。 通信ネットワークを支える通信機器には通信情報を処理するためにLSI が使用され、その電源として低電圧大電流を供給できるDC/DCコンバータが使用されている。 通信装置が処理する情報量の変化が大きく、処理速度が高速であるためDC/DCコンバータには高速な負荷急変応答性能が求められる。 このような要求にこたえるために省スペースで大電流40Aを供給できるDC/DCコンバータモジュールBR220を開発したので報告する。
10 屋外用整流器SRF-48V-102の開発 中村 哲也
主に通信機器分野で無線機用の電源設備として当社の直流電源装置は展開されているが、屋外に設置されることが多い。 屋外では塵埃や雨滴などが浸入しない構造にする必要があるが、今回はファンレスで装置密閉型構造の直流電源装置を汎用標準電源のラインアップに追加した。 本稿では、新しくラインアップに追加したSRF-48V-102について紹介する。
11 青色励起方式による超高演色LED照明の用途 渡邉 英之
LED照明器具が市場に広まり、一般家庭にまで使われるようになってきた。その一方で、特殊な用途として、印刷物の色評価用照明や、 美術館の展示物を傷めない照明といった、一般的なLED照明器具では、要求仕様を満足できない市場がある。 そこで、当社は、青色励起方式を用いて超高演色LED照明器具(Ra≧ 95、Ri≧ 90)を実現した。 本稿では、印刷会社や、美術館での展示用照明として、要求仕様を満足できるかを検証したので報告する。 また、この超高演色LED照明器具を一般居住空間用途へと展開していきたいと考えており、その際の人体への影響などについても述べる。

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