特集 次世代パワー半導体「GaN」「SiC」とは?サンケンと次世代パワー半導体

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Part 3. SiC、GaNデバイスにおけるサンケン電気の強み

サンケン電気の次世代デバイスへの取り組み

サンケン電気は1946年の創業から70年以上の歴史を持つ半導体メーカです。
パワーエレクトロニクスの専業メーカとして、次世代パワーデバイスとしての化合物半導体の重要性についても認識し、1990年代から研究開発を進めてまいりました。

サンケン電気のGaNパワーデバイスの起源は青色LEDの基板技術です。サンケン電気では、インジウムを混ぜたガリウムナイトライドをシリコン基板上に形成するInGaN on Silicon LED (サンケン電気特許)を業界に先駆けて開発し、当時非常に高価だった青色LEDのコストダウンにひとつの道を示しました。
さらに、2002年以降、NEDOの助成のもと、パワーデバイス用として開発を行い素子の高耐圧化に成功しました。その素子を用いて、2004年以降、モータや電源応用例を発表してまいりました。

SiCに関しては、2009年からNEDOの次世代パワーエレクトロニクス技術開発プロジェクトに参加しつつ、SiC素子開発を平行して行い、電源への応用例を発表してまいりました。
NEDO: 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構



SiC・GaNパワーデバイスにおけるサンケン電気の強み

サンケン電気は1959年に電力用シリコンダイオードを製品化し、以降、トランジスタ、パワーMOSFET、IGBTなど数多くのパワーデバイスを生産してまいりました。それらの実績をもとに、SiC、GaN双方のパワーデバイスの開発を進めております。

そのため、それぞれの素子の長所・短所を熟知しており、目的に応じた製品開発ができることがサンケン電気の強みです。
電子回路には、高圧、大電流、小型化など、幅広い要求がありますが、それぞれのケースにおいて、SiC、GaN、シリコンデバイスを最適かつ柔軟に組み合わせた製品開発を行っております。
また、製造工程においても、その素材に応じた独自のノウハウの蓄積が重要です。サンケン電気では、シリコンデバイスで培った長年の技術と、特許を含む独自のノウハウを生かし、SiCとGaNの高い性能を引き出し生産性を高める製法の研究開発を進めております。

強み


SiC ― 独自の製造技術でSiCでありながらVg=15Vを実現

シリコンのインゴットは引き上げ法で製造されますが、SiCは、2000℃以上の高温下で結晶を成長させる昇華法で製造されます。
そのため、結晶欠陥の少ないウェーハ製造が難しく、ウェーハ口径も小さかったために普及が妨げられておりましたが、近年ではウェーハ製造の技術革新により、6インチのウェーハ供給も開始され、低価格化が進みつつあります。

サンケン電気のSiC MOSFETは、低圧シリコンMOSFETの構造に近く、シンプルで作りやすいトレンチ構造であることが特徴です。
また、ゲート特性にも特徴があります。SiC MOSFETはシリコンIGBTからの置き換えとして使用されることが想定されますが、一般的にSiCはFETのゲート特性がシリコンに比較して悪く、シリコンIGBTより高い駆動電圧を必要とするSiC MOSFET製品が多いようです。そのため、シリコンIGBTからSiC MOSFETに置き換える際、ゲート駆動電圧の調整が必要となります。しかし、サンケン電気では製造工程に独自の工夫を施すことで、シリコンのIGBTと同等のVg=15Vで駆動を可能にしました。これにより、SiC MOSFETへの置き換えを容易にすることができます。

SiCにおける強み


SiC応用例:フルSiCモジュールを使ったインバータ

サンケン電気では、フルSiCモジュールを使った10kWのインバータモジュールを作成しました。フルSiCモジュールとは、ハーフブリッジ回路を3回路、すなわちSiC MOSFETを6石内蔵したモジュールです。
SiCデバイスは損失が少ないだけでなく、200℃という高温でも連続動作が可能であるため、ヒートシンクを大幅に小型化することができます。
これにより、シリコンIGBTを主素子として用いた汎用インバータと比較して、体積を1/36に削減することができました(当社比)。





・・・Topic   SiCのウェーハは半透明・・・

半透明のSiCウェーハ


SiCのウェーハはシリコンと異なり半透明です。
なにも加工を施していないSiCのウェーハは、後ろにあるサンケン電気のロゴが透けて見えます。
このSiC基板上に各種電極を形成し、ダイオードやパワーMOSFETなどを作ります。



GaN ― コラプス現象を抑制する製造技術で安定量産へ

GaNもSiCと同様に、結晶欠陥の少ないウェーハを製造することが難しく、ウェーハ価格が高価であるため、サンケン電気では安価なシリコン基板上にGaNエピタキシャルを成長させるGaN on Silicon(サンケン電気特許)の製法に着目し、研究開発を続けてまいりました。
現状、GaNを用いたデバイスはこのシリコン基板上にGaNを成長させたウェーハを用いた横型構造が一般的であり、サンケン電気でも横型構造のGaNデバイスの開発を進めております。
シリコンやSiCのような縦型構造と異なり、横型構造の場合、電流の取り出し電極がウェーハ表面に並ぶためチップサイズが大きくなりやすく、高圧・大電流のデバイスを低価格で製造することは困難です。しかし、GaNは量子効果を利用した伝導機構のため、非常に高速でオン抵抗の低いデバイスを実現できるため、100Wクラスの電源に使用することで特長が引き出せます。

GaN素子を製造するうえでの大きな課題はコラプス現象であり、量産化技術の確立に長い時間を要しました。「コラプス現象」とは、スイッチング時の高圧印加後に素子のオン抵抗が変動する現象です。
この問題の解決には、GaN素子を構成する多層のエピタキシャル層および多数の配線層というすべての工程をより精密に制御する技術と、様々なコラプス現象を検出・検査できる技術が非常に重要です。
サンケン電気は、エピタキシャル成長工程も含めた製造技術や検査技術を蓄積し、安定量産の目途をたてました。

GaNにおける強み

GaN応用例:1MHz動作のPFC回路を実現

GaNの大きな特長は、従来数100kHzでのスイッチングが限界だったシリコンに対して、MHzでのスイッチングが可能であることです。この性能を利用し回路の高周波化を実現すれば、トランスの実装面積を大幅に削減し、小型でありながら高出力の電源が実現可能です。
特に、小型で高出力化を求められているUSB Power Delivery規格の実現にはGaNの高速スイッチング性能が非常に有効です。
サンケン電気では、専用ゲートドライバ内蔵のGaN FETを用いて1MHz動作のPFC回路を実現しました。
ゲートドライバの駆動はマイコンでデジタル制御しています。
(マイコンは、サンケン電気のデジタル電源向けマイコンであるMD660xシリーズを使用しています。)

GaN FETを使って1MHz動作のPFC回路を実現



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Part 1. 次世代パワー半導体 GaN・SiCとは?
   ■SiC・GaNの素子特性
   ■SiC・GaNデバイスの適用範囲

Part 2. SiC・GaNデバイスの採用が期待される用途
   ■SiC・GaNデバイスの採用が期待される9つの用途

Part 3. SiC・GaNデバイスにおけるサンケン電気の強み
   ■2002年からGaNデバイス、2009年からSiCデバイスの半導体開発に従事
   ■SiC・GaNそれぞれにおけるサンケン電気の強み

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