デジタル電源とは?サンケン電気のデジタル電源向けマイコン「MD660xシリーズ」

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アナログからデジタル制御に移行するスイッチング電源装置

スイッチング電源のエネルギー・ロス削減への要求

スイッチング電源装置(AC/DC電源、DC/DC電源)は、産業・民生・車載など、分野を問わずかならず必要とされるものです。
スイッチング電源の要件のひとつは、「供給される電力を、いかに無駄なく安定したかたちで負荷が必要とする電力に変換するか」ということです。地球温暖化やエネルギー問題が急務の課題となっている昨今では、電源装置内のエネルギー・ロスをさらに極限まで低減するための技術が模索されています。

従来「アナログ制御」→新たなアプローチ「デジタル制御」

これまでのスイッチング電源装置で出力電圧を安定化させるためには、「アナログ制御」方式を採用することが一般的でした。アナログ制御電源では、位相補償のためのエラー・アンプの特性や低負荷時の動作モード変更などのさまざまな工夫により、負荷変動への応答性能や電源効率性能を向上させてきています。
一方で、エネルギー問題の深刻化にともない新たな高効率化実現のための手段として出現したのが、「デジタル制御」技術を取り入れた電源装置です。
デジタル電源では、従来のアナログ制御では実現しにくい新たなトポロジでコンバータ制御を行うことができます。また、ホスト側や負荷側と通信しあうことで、状況に応じて最適な運転方法や制御方法に切り替えることができるのも大きな特長です。
しかし、デジタル電源の制御は制御対象が電気回路のため非常に速い応答性が必要であり、従来は高性能で高価なDSP(Digital Signal Processor)が必要でした。

サンケン電気のデジタル電源向けマイコン "MD660xシリーズ"
サンケン電気は、デジタル電源制御に最適な8ビットマイコン(MCU:Micro Controller Unit)、MD660xシリーズを製品化しました。
MD660xシリーズは、電源制御に必要な機能と性能を備えたコンパクトで低消費電力なマイコンであり、デジタル電源を容易に構築することができます。

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デジタル電源用マイコン 

デジタル電源とは?

従来型のアナログ制御式電源

従来からのアナログ制御式電源では、例えば、出力電圧と基準電圧の差を、エラー・アンプを通して位相補償し、コンバータ内のパワーMOSFETのON/OFFを指示するPWM波形のデューティを調整することでフィードバック制御を実現していました。(図左側)

この方式は安価ですが、次のような課題があります。

  • 異常検知機能を多機能化すると回路規模が増える
  • 効率向上のためコンバータのトポロジを多様化することに限界がある
  • エラー・アンプの基準電圧の制限から、出力を低電圧化しにくい
  • 多品種対応のためには、受動部品の付け替えが必要
  • 通信機能や、運転ログ記録機能を追加するには、別途マイコンが必要

一方、デジタル制御方式の電源は、アナログ方式ではエラー・アンプで行っていた位相補償をDSPによる数値演算(デジタル・フィルタ)で処理する点が特徴といえます。(図右側)


デジタル電源

デジタル電源ではどのようにDSPで位相補償を数値演算処理しているか、デジタル制御の流れをご紹介します。

デジタル制御の流れ

①フィードバックする出力電圧を
A/D変換器で読み取りデジタル数値化

②DSP内で位相補償演算を行い、
必要なPWMデューティを定める

③②のデューティに従ったPWM波形を出力

③のPWM波形はデジタル論理回路で生成します。指定できるデューティ比や周期の分解能が粗いと出力電圧にリップルが乗ってしまうので、なめらかにデューティ比や周期を設定できる高分解能PWMを使います。

これらの処理を、ある制御周期で繰り返します。多くのケースはPWMキャリア周期に同期して制御を進めます。
このように、アナログ制御にはできない能動的な処理をサイクル毎に行えるので、より高度な制御を盛り込むことができるのです。


デジタル電源の制御に必要なデバイス

デジタル電源を制御するには、下記のようなデバイスが必要です。

フィードバック制御に必要なデバイス

  • 高速で高精度なA/D変換器
  • 高速演算できるDSP
  • なめらかにデューティ比や周期を設定できる高分解能PWM
  • 過電流検知等のためのコンパレータやオペアンプ

各種のインテリジェントな処理や通信処理

  • CPU
  • 通信機能
  • CPUプログラムを格納するメモリとして、書き換えが自由なFLASHメモリ

これらデジタル電源に必要な要素をサンケン電気のMD660xシリーズは全て備えています。


電源をデジタル化することで得られるメリット

電源制御をデジタル化することで得られるメリットは数多くあります。
さまざまなトレードオフの中でアプリケーションに応じた最適なメリットを引き出す電源のデジタル化を検討する必要があります。


1, 高効率
  • 負荷に応じて最適な動作モード、動作周波数を選択
  • 負荷に応じたデッドタイム最適可変
  • 循環電流削減のためのデューティ制御
  • 軽負荷時の間欠動作
  • 線形制御と非線形制御の切替え
  • 効率と力率の優先順位変更、軽負荷時のPFC停止

2, 高速応答
  • アナログでは実現できない位相補償
  • 高度な理論にもとづく離散制御
  • 最適な非線形制御

3, 各種コンバータトポロジ対応
  • アナログ制御では困難なコンバータ・トポロジへの対応
  • 高効率化を実現する、同期整流やブリッジ・レス
  • 部品点数を削減可能な特殊トポロジへの対応

4, 高信頼化

  • ケミカル・コンデンサを排除できる位相補償
  • アナログ回路で起こる経年劣化の排除
  • 周波数変調によるEMIノイズの低減

5, 多品種対応
  • 受動部品で設定していた仕様やパラメータをソフトウェア側で設定可能
  • カスタム電源仕様は出荷直前にFLASHメモリに書込むことで対応

6, 小型化
  • スイッチング周波数の高周波化
  • アナログで実現していた多機能化ハードウェアをソフトウェアに取り込み
  • OCP/OVPなど異常検知用外部ハードウェアをソフトウェアに取り込み

7, 低電圧・大電流


  • アナログにはできない、A/D変換器による高精度な低電圧設定
  • 高速応答による、消費電流が大きくかつ急変するSoC/FPGAへの対応

8, インテリジェント(通信機能など)
  • 任意に設定できる電源立ち上げ・立ち下げシーケンス
  • 運転状況のログ保管
  • 外部コマンドによる電源状態設定
  • 他の電源装置との協調動作

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