業界トップクラスの大電流出力!低圧ステッピングモータドライバIC 【SX723xMシリーズ】

SX723xMシリーズ:SOP36ピンパッケージ
22mm×14.1mm×2.1mm、放熱プレートなしで3A出力可能

このたびサンケン電気では業界トップクラスとなる大電流出力を実現可能な低圧ステッピングモータドライバIC「SX723xMシリーズ」を開発しました。

モータアプリケーションが多様化し需要が着実に伸びている中で、民生品、家電、OA機器、そして産業機器に使用される低圧ステッピングモータに必要とされる出力電流の範囲も広がり、より高い出力電流を簡単かつ低コストで得られるソリューションが求められています。

「SX723xMシリーズ」は、 MOSFET内蔵タイプでありながら放熱器なしで3Aの連続出力電流を供給可能で、さらに既存のソリューションに対して大幅な小型化とソリューションコストの削減が可能です。
本稿では、「SX723xMシリーズ」の性能や機能、および、大出力電流を可能にしたサンケン電気の独自技術についてご紹介します。

ニーズに基づく機能を備え、大電流出力が可能なHブリッジ内蔵型

SX723xMシリーズは、2~3Aレベルの出力電流を必要とするステッピングモータ用に開発されたバイポーラモータドライバICで、出力電流定格が5Aの2個のHブリッジ(全てNch MOSFET、計8個)を内蔵しています。ワンパッケージでこの出力電流レベルは、業界トップクラスです。
自励式PWMオフ時間固定電流制御方式(固定周波数ではない)を採用し、励磁シーケンサ、Mixed Decay モード電流回生、保護回路といった、モータ駆動に必要になるほとんどの機能が搭載され、高い汎用性をもった構成になっています。

製品名 データシート パッケージ 耐圧(電源電圧) 出力電流定格 入力方式 励磁方式
SX7232M SOP36 10V~40V 5A Clock フル、ハーフ、4分割、8分割、16分割
SX7236M SOP36 10V~60V 5A Clock フル、ハーフ、4分割、8分割、16分割


開発コンセプト:現状の課題の解決→コストを削減

SX723xMシリーズのターゲットである2~3Aレベルの出力電流を得るための従来の一般的なソリューションは、MCU(マイクロコントローラ)+モータドライバコントローラ+Hブリッジ用のパワートランジスタ のような個別部品による構成がほとんどです。
したがって、設計は複数のICと個別トランジスタの組み合わせになるため複雑になり、さらには高い出力電流を得るための熱対策に多大な時間を費やす場合が少なくないようです。
また、このレベルの電流を扱う個別パワートランジスタはTO-220タイプのパッケージが一般的で、Hブリッジ2回路分で8個のパワートランジスタが必要となる点から、構成部品が多く実装面積もかなりのものとなります。
このような現状の課題を解決することを目的にSX723xMシリーズを開発しました。
キーポイントは以下の4点で、課題を解決しつつ、最終的にはコスト削減に結び付くものです。
高出力電流に伴う発熱の主要因の一つであるパワーMOSFETのオン抵抗は、一般的なワンチップ型パワーICに比べおおよそ1/3以下で、放熱器なしで3Aの出力電流を供給可能です(右グラフ参照)。実装面積は、ディスクリート構成と比較すると約1/2にまで削減できます。

1. 柔軟性:基本設計共有化、設計の簡略化、汎用性向上⇒コスト削減

  • 40Vと60Vの 2 種類の耐圧オプションを用意(ピン互換)
  • 単一電源動作により内蔵シーケンサ用ロジック電源が不要
  • 電源とロジック入力の立ち上げ/立ち下げシーケンスは不問

2. 保護機能:安全性向上、保護回路設計と部品が不要⇒実装面積削減、製品化時間短縮⇒コスト削減

  • 低電圧保護(UVLO)、過熱保護(TSD)、天絡/地絡/モータコイル間短絡に対する過電流保護(OCP)内蔵
  • Hブリッジのハイサイド-ローサイド間の貫通電流を防ぐデッドタイム機能搭載
  • 異常を知らせるフラグ出力内蔵

3. 高集積:マルチチップ・ワンパッケージ⇒部品点数と実装面積削減⇒コスト削減

  • ステッピングモータドライバHブリッジMOSFET内蔵(計8個)
  • 小型表面実装型SOP36ピンパッケージ(22mm×14.1mm×2.1mm、放熱プレートなし)

4. 低損失:低オン抵抗⇒発熱低減⇒放熱器不要⇒面積、高さを削減⇒コスト削減

  • 超低オン抵抗の内蔵MOSFET:1個あたり50mΩ(typ、40V耐圧品)、80mΩ(typ、60V耐圧品)
  • 出力電流:定格5Aで実電流3Aにて動作可能
  • 同期整流機能による回生時の熱損失の低減
  • 低消費電力のスリープ機能内蔵

実質的な出力電流を最大にする技術

実質的な出力電流を最大限にするため、SX723xMシリーズにはサンケン電気の独自技術を投入しております。
ここで、「実質的な出力電流」についてご説明します。モータドライバICの出力電流のスペックは、一般に絶対最大定格(もしくは最大出力電流)と推奨動作範囲が示されています。また、大抵の場合、「出力電流はTj maxの制限を受ける」という主旨の注意書きが書かれています。これは、SX723xMシリーズも同様です。
この注意書きが意味するのは、つまり、「Tj maxという温度定格を逸脱することなく必要なドライバ電流(出力電流)を得るには方策が必要である」ということです。

念のために普遍的な式を記しますが、Tjは以下の式で求められます。SX723xMシリーズではTj maxは150℃と定めています。

   Tj(接合部温度)=消費電力(W)×パッケージ熱抵抗(θja)+Ta(周囲温度)

モータドライバの消費電力は概略的イメージとしてパワートランジスタのオン抵抗(ハイサイドとローサイドの合計)と出力電流、そして制御回路の消費電力によって決まります。つまり、実際に利用することができる出力電流は、この式の項が支配的となり、定格の大小は直接関係しません(もちろん定格は必要な出力電流より大きくなければなりません)。
たとえば熱計算から出力電流が2Aしか取れない条件に対して、出力電流定格は5Aでも10Aでも実質的に取れる電流には変わりはありません。逆に言えば、電流定格が大きなものを使えば単純に大きな出力電流が取れることにはならないのです。
したがって、より大きな「実質的な出力電流」を得るための重要な要素は、パワートランジスタのオン抵抗とパッケージの熱抵抗が可能な限り低いことになります。

マルチチップパッケージ技術と超低オン抵抗MOSFET

SX723xMシリーズには、サンケン電気独自のマルチチップパッケージ技術を使っています。
右図のように、1つのパッケージに制御チップと個別のMOSFETチップを封止する技術です。

技術的には、ワンチップ上に制御回路とMOSFETを作り込むことは可能ですが、それぞれに最適化されたプロセスで別々に作った方が性能とサイズ面では有利になります。特にMOSFETは、オン抵抗を下げるには素子サイズを大きくせざるを得ませんが、最適化された専用プロセスを用い個別に作ることで、最低限のチップサイズで必要な低オン抵抗を実現することができるのです。
もう一つ重要なポイントとして、パワー素子を分散させる(ワンチップ上に集中させない)ことで発熱源を分散させることができ、効果的なパッケージの放熱構造を構築し、熱集中が緩和された良好な放熱性能が得られます。

これらの技術とノウハウは、サンケン電気が30年に渡る低圧モータドライバの開発で培ってきた独自の技術です。

まとめ

SX723xMシリーズでは、サンケン電気独自のマルチチップパッケージ技術を使い、ワンチップでは実現が困難な超低オン抵抗のMOSFETチップを、汎用性の高い制御チップと共に一つのパッケージに封止しました。これにより、ワンパッケージの低圧ステッピングモータドライバとしては業界トップクラスの大出力電流を実現しました。
大出力電流を得るには発熱を抑える必要があり、パワートランジスタのオン抵抗とパッケージの熱抵抗を下げるのが効果的です。しかしながら、パッケージの熱抵抗を下げるには、基本的に放熱器または実装基板に放熱スペースが必要になってしまいます。
SX723xMシリーズでは、可能な限りパワートランジスタのオン抵抗を下げ放熱性能を向上させたことにより、3Aレベルの出力電流を放熱器なしで供給することを可能にしました。
この結果、これまでこの電流レベルの設計では必須だった手間のかかる熱設計を大幅に軽減し、さらにサイズとコストの削減に大きく貢献します。

製品のお問い合わせやご相談はこちら

ご希望の製品がラインアップから見つからない場合もお気軽にお問い合わせください。