ダイオードの電気的特性

静特性

以下に、ダイオードの静特性を示します。

順方向降下電圧VF、順方向電流IF

順方向に電圧を印加したときに流れる電流を、順方向電流IFと呼びます。IFが流れたときの電圧を、順方向降下電圧VFと呼びます。
ダイオードのIF – VF特性を比較した場合、同じ量のIFを流すのに必要なVFが低いダイオードほど電力損失が少なく、特性が良いとされます。
VFは負の温度特性を持っており、高温になるほどVFは低くなります。

逆方向電圧VR、逆方向漏れ電流IR

逆方向に電圧を印加したときに流れる電流を、逆方向漏れ電流IRと呼びます。IRが流れたときの電圧を、逆方向電圧VRと呼びます。
逆方向に電圧を印加すると、わずかに漏れ電流IRが流れます。IRが小さいダイオードほど電力損失が少なく、熱暴走を防ぐことができます。
IRは正の温度特性を持っており、高温になるほどIRは高くなります。

逆方向降伏電圧VZ

逆方向電圧VRを大きくすると、ある電圧で逆方向漏れ電流IRが急増します。この時の電圧を逆方向降伏電圧VZと呼びます。逆方向降伏電圧はツェナー電圧またはブレークダウン電圧とも呼ばれます。

スイッチング特性

以下に示すように、順方向電圧を印加している状態から、スイッチを切り換えて逆方向電圧を印加するとリカバリ電流が流れます。リカバリ電流が流れてからリカバリ電流が減少するまでの時間を、逆方向回復時間trr(Reverse Recovery Time)と呼びます。trrは順方向電流IFが大きいほど長くなります。リカバリ電流はノイズや電力損失の原因になるため、trrが短いダイオードほど特性が良いとされます。

順方向電圧から逆方向電圧に変化したときに、リカバリ電流が流れる理由を以下に説明します。

A:電圧を印加していない状態
正孔と電子は平衡状態です。
B:順方向電圧を印加している状態
電子はP型半導体に、正孔はN型半導体に移動します。つまりIFが流れている状態です。
C:逆方向電圧を印加した瞬間
スイッチを切り換えた瞬間、ダイオードには逆方向電圧が印加され、電子と正孔の移動する向きが逆になります。このときに流れる電流がリカバリ電流です。
D:逆方向電圧を印加している状態
しばらくすると、空乏層が広がり、正孔と電子が移動しない状態になります。CからDの状態になるまでの時間がtrrです。

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