サンケン技報
サンケン技報は、省エネルギー社会を支えるサンケングループの最新技術や製品を紹介する技術論文です。
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2025年11月号(vol.57)
| No. | 論文 | 著者 |
|---|---|---|
| - | サンケン技報 vol.57 統合版 | |
| 1 | PSJGaN HEMTの開発 | 伊藤 裕規 |
| (株)パウデックの独自技術であるPSJGaN技術を用い、デバイス試作をおこなった。 PSJGaNは、分極により生じる電子および正孔によって形成される超接合構造による電界分布の均一 化を利用することで、耐圧の向上および、電流コラプスの抑制効果が期待される。これらの効果を 確認するため、試作およびデバイス評価をおこない、従来のGaN HEMTと比較を行ったところ、耐 圧および電流コラプス特性で優位性を示唆するデータが得られた。さらにカスコード接続によるSW 動作では、SJMOSよりも優れた特性を示す結果が得られた。引き続き、MOSFETや制御ICと組み 合わせた統合型デバイスの製品化へ向けて検討を進めていく。 | ||
| 2 | パワエレ制御向けRISC-VマイコンMD6605の開発 | 山崎 尊永 宍戸 仁美 |
| サンケン電気は電源やモータなどの先進的なパワエレ制御システム向けに、RISC-V CPUコ ア、22nm超低リークプロセス、およびReRAM不揮発メモリ技術を使用したマイコンMD6605を開 発した。MD6605はRISC-V CPUコアに加え、デジタルフィルタ演算用DSPと高速タスク・スイッチ が可能なEPU(Event Processing Unit)によるヘテロジニアスマルチコア構成を採用しており、パワ エレ制御システムの高効率化と高機能化を実現する。MD6605の製造には、マイコンとしては最先 端の22nm超低リーク・プロセス技術と不揮発メモリReRAM(抵抗変化型メモリ)を採用した。サ ンケン電気は、MD6605を活用し、各種パワエレ制御システム向けの製品群を積極的に展開する予 定である。 | ||
| 3 | 48V車載用MOSFET Module SAM4L10M30Z1の開発 | 鈴木 誠司 |
| 近年自動車の電動化に伴いさまざまなパワートレインが開発されている中、主に欧州 での需要が高い48V系マイルドハイブリッド車(48V MHEV)がある。サンケン電気(以降当社) ではその48V MHEVに搭載される電動コンプレッサに対応した100V低圧三相MOSFET Module SAM4L10M30Z1を開発した。求められる性能とパッケージ小型化の両立を実現するためにMOSFET の低オン抵抗化とモジュールパッケージ形状が重要となる。本稿では現在開発中である本製品の性 能の紹介と開発状況について述べる。 | ||
| 4 | 車載向け1200V IPMシリーズ搭載パワーデバイスの開発 | 石井 孝明 山田 隼人 |
| 当社では、パワーデバイスとそれを駆動かつ保護機能をもつ制御用ICチップ、温度検出用 サーミスタを搭載したトランスファーモールド構造のIPM SAM2製品をシリーズ化してきた。これ らは、自動車や産業機器のエアコンのモータを制御するIPMとしてインバータユニットの小型化と 省エネルギー化に大きく貢献している。またアプリケーションの多様化した市場要求に応えるため、 定格1200Vのラインナップの拡充を進めている。本稿では、電動ウォーターポンプ制御ドライバ用 に新たに開発した、車載向け定格1200Vのパワーデバイスとそれらを搭載したSAM2製品について 報告する。 | ||
| 5 |
スマート SiC-IC の高速駆動と短絡保護技術 ~誰もが簡便に超高速スイッチング性能を引き出せるSiC-MOSFET~ |
横井 魁人 町田 修 |
| SiC MOSFETは高耐圧でありながら小型化ができるため、高圧回路で大電流の高速なスイッ チングか可能となる。特にSiC MOSFETのソース電極に、主電流の流れないゲート用ソース端子を 用いることで、低インダクタンスのゲート制御が可能となり、高速なスイッチングを実現できる。 しかし、高圧スイッチング中に短絡が発生した場合、SiC-MOSFETには数千A/μsの高速で短絡電流 が流れ、1μs以下での短絡破壊が発生する。このような4端子(4P)駆動に対して、Si-IGBTでは一 般的な3端子(3P)駆動をSiC-MOSFETでおこなった場合、スイッチング速度は大幅に低下するが、 短絡電流も制限されて短絡耐量時間が数倍延びることが確認された。この4P駆動による高速スイッ チングと3P駆動による短絡保護を、両立する駆動方法を開発した。 | ||
| 6 | 裏面漏光防止型赤外チップLEDの開発 | 野田 耕作 |
| 小型化の市場背景から、赤外チップLED裏面からの漏光が問題となってきた。本開発では、 赤外チップLEDの基板材質を赤外線透過率の低い材質に変更することで、裏面からの漏光を防止す ることが可能となった。開発した赤外チップLEDは、現行流動品と外形も実装ランドパターンもコ ンパチであるため、ユーザーでの回路基板の設計変更が不要である。本稿では、そのLEDの特性、 特徴を報告する。 | ||
| 7 | RGB蛍光体を用いたRGB-LEDの開発 | 梅津 陽介 |
| 車室内の間接照明としてRGB-LEDが普及しているが、RGBチップの発光をそのまま使うた め、RGB単色および中間色の色ばらつきが大きい。今回、RGBの蛍光体を用いてこれらの色ばらつ きを抑制した。また、温度特性や大電流領域での明るさ低下を改善し、ハイパワー化にも対応でき るRGB-LEDを開発したので紹介する。 | ||
| 8 | 非絶縁コンバータ電源IC STR5M400シリーズの開発 | 伊藤 公一 塩津 興一 早川 章 |
| 近年、シーリングファン、コーヒーメーカ、除湿・加湿器、掃除機などの小物家電に使用 する電源ICにおいては、面実装による小型化、非絶縁化によるフォトカプラレスおよびシステムと して外付け部品点数削減、さらに全負荷領域で高効率化が求められている。本稿ではこれらのニー ズを満足するSTR5M400シリーズを開発したので報告する。 | ||
| 9 | 非絶縁フライバック電源IC STR5A300シリーズの開発 | 田畠 鉄哉 塩津 興一 早川 章 |
| エアコン、洗濯機、空気清浄機といった白物家電やスマートメーターなどの小容量電源に 搭載する電源ICを開発した。これらの機器の電源システムは、低コストおよび省スペース化が重要 なポイントとして挙げられ、今後さらに小型化が進むと考えられる。非絶縁用電源向けに高耐圧パ ワー MOSFETを搭載し、エラーアンプを内蔵した電源ICを開発した。本報告では、開発したICの 特徴、回路方式の比較、本ICを搭載した電源ボードの特性を紹介する。 | ||
| 10 | ドッキング接続時の汎用化パフォーマンスボード設計 | 木村 将吾 真尾 麻美 |
| 当社はIPMやパワーマネジメントICなどのパワー半導体を取り扱っている。その半導体製 造の前工程の一つであるウェーハテストには品質とスループット向上が常に要求されている。 このスループット向上には「半導体検査装置(ATE:Automated Test Equipment)」や「プローバ」 が持つ複数チップを一度に検査する同時測定機能を使用して応える。同時に測定をするチップ数が 増えることによりパフォーマンスボードやプローブカードなどのコンポーネントも大型化する傾向 がある。大型のコンポーネントを製品毎に製造した場合はコストが増大することから、それを抑制 するためにコンポーネントの汎用化設計をおこなった。本稿ではその事例について報告する。 | ||
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